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「わかりやすい薬の話」

「わかりやすい薬の話」

  ~セルフメディケーションって何?~

 

             医学博士 山田正明

 

セルフメディケーションって何?

セルフメディケーションとは、WHO(世界保健関)によれば「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てする」とされています。

このことから、セルフメディケーションとは「薬を買う方が自分自身の判断で選択し購入できる・・・・すなわち、セルフメディケーションの主役は医薬品の購入者である」という意味です。セルフメディケーションの時代となり、個々の健康に対する考え方、薬の選択を問われる時代が始まっています。

このセルフメディケーションの時代となり、一般医薬品を一定期間使用しても症状の改善が見られない人に対し、その医薬品の販売に従事する専門家(薬剤師・登録販売者)が医療機関で受診するよう指導します。

 

 

「わかりやすい薬の話」

~薬を知るためのポイント~

 

処方せん、薬剤師への相談について

 

〇医師・歯科医師の処方せんがなくては薬剤師に薬を調剤してもらえません。

また、処方せんの有効期限は、処方せんの発行日から4日間です。

例)金曜日発行⇒次週月曜日までの4日間

 

〇薬剤師には調剤薬や他の薬など、積極的に相談されることを望みます。

⇒「かかりつけ薬剤師」「かかりつけ薬局」

〇薬の使用注意、使用方法、説明書は薬の使い終わりまで保管すべきです。

 

薬局と薬店の違い

薬のことは、医薬品医療機器法(旧薬事法)では、薬品と呼んでいます。薬局と薬店の違いは、医師の処方せんによって、調剤を行うところが薬局で、薬店とは、一般用医薬品を販売する店のことで、処方せんがなくても薬を買うことができます。

 

くすりは「薬」にも「毒」にもなる

くすりの逆読みは「リスク」です。そのとおりで、薬には副作用がつきものです。一方、「薬学」を「毒学」と例えられることもあり、一般的には、副作用というと、その薬の使用量などを正しく用いても現れ、不要で好ましくない作用のことをいいます。薬の直接的な副作用には、その薬が本来もっている有害作用によって起こる「毒性作用」と、その薬の過敏性を獲得している人だけに起こる「過敏性副作用」があります。

<例>

抗菌薬ストレプトマイシン⇒難聴、めまい(毒性作用)

抗菌薬ペニシリン⇒発疹、アナフィラキー

                 (過敏性副作用)

 

薬の使用により、皮膚病(じんましん、発赤、湿疹など)、鼻炎や喘息などの症状が現れた場合を、一般的に薬物アレルギーといい、ショックを主徴とする場合、アナフィラキー(嘔吐、じんましん、呼吸困難、低血圧状態からの意識喪失)といわれています。

薬物アレルギーを起こしやすい薬としては、抗生物質製剤、解熱・鎮痛剤などがあり、特にアスピリンの使用による「喘息発作」を生じることがあります。

 

 

 

薬の分類について

 

  1. 医療用医薬品

医師の診察を受けた後に薬局で受け取る薬。

医師が患者の症状に合わせて処方する。保険適用。

 

  1. 新医薬品(先発医薬品
  2. すでに製造または輸入の承認を与えられている医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能、効果などの異なる医薬品として、厚生労働大臣がその製造承認の際、指示したものと定義されている
  3. 後発医薬品(ジェネリック医薬品
  4. 新医薬品(先発医薬品)の特許期限が切れた後、新医薬品(先発医薬品)と同じ有効成分で同等の効能があると厚生労働大臣が認可した薬。
  1. 一般用医薬品
  2. 医師の診断なくして、自覚症状に基づいて自己の判断で使用することを目的として供給される医薬品。全額自己負担。
  1. 要指導医薬品・・・リスクが高く、薬剤師から対面で指導などを受けて購入する。アレルギー薬など、インターネット販売は認められていない。<注1>
  2. 第1類医薬品・・・リスクが高く、薬剤師から対面などで指導を受けて購入する。H2ブロッカー(胃酸分泌抑制薬、商品の例としてガスター10など)、発毛剤(商品の一例としてリアップなど)、解熱・鎮痛剤など。
  3. 指定第2類医薬品・・・第2類医薬品のうち特別の注意を要するもので、薬剤師、登録発売者<注2>から指導をうけて購入する。総合感昌薬など。
  4. 第2類医薬品・・・リスクが中程度で薬剤師、登録販売者は医薬品の情報提供に努める。解熱・鎮痛剤、かぜ薬など。
  5. 第3類医薬品・・・リスクが低めの薬(ビタミン剤など)で、薬剤師、登録販売者が販売する。

<注1>要指導医薬品は、医療用医薬品から一般用医薬品に移行して間もなく、一般用医薬品としてのリスクが確定していない薬の「スイッチ直後品目」と殺そ剤(ネズミとり)のような劇薬を含めた医薬品をいう。「スイッチ直後品目」について、原則3年で一般用医薬品に移行させ、インターネット販売が可能になります。

<注2>一般用医薬品の販売を担うため、薬剤師とは別の新たな専門家(登録販売者)の仕組みが、2009(平成21)年6月より設けられました(都道府県試験)。なお、薬局、薬店(ドラッグストアー)で一般用医薬品を求める場合、販売者のネームプレート(薬剤師、登録販売者、事務員)を確認することが大切です。

 

  1. 医薬部外品
  2. 医薬部外品は医薬品ほどではないが、医薬品に準じる効能、効果を持っているもので、体に対する作用が緩和であることを要件として、医薬品的な効能、効果を標榜(ひょうぼう)することが認められています。医薬部外品については、製品の容器に「医薬部外品」と表示することが義務付けられています。
  3. 生物由来製品
  4. 医薬品医療機器法(旧薬事法)に「生物由来」の定義が示されています。その定義とは、人その他の生物(植物を除く)に由来するものを原料または材料として製造(小分けを含む)される医薬品、医薬部外品、化粧品または医療機器のうち、保健衛生上、特別の注意を要するものとして厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて指定するものをいいます。生物由来のうち特に注意を要するもの、たとえば「血液製剤」については、「特定生物由来製品」として厳しい規制を行っています。この厳しい規制を行っている理由には、以前、非加熱製剤の使用によって、血友病患者はエイズウイルスに感染し「薬害エイズ事件」として問題になりました。さらに、出産時の出血を防ぐ目的で使用されたフィブリノゲン血液製剤によるC型肝炎ウイルスの感染など、血液製剤による保健衛生上の危害が発生しました。このような危害発生または拡大を防止するための措置を講ずるために厳しい規制が行われています。